離婚時の親権の決め方|父親が勝ち取ることはできる?
親権とは、未成年の子がいる場合に、その子が成年して社会人となることができるように世話をして監護する「身上監護権」と、未成年の子の財産を管理する「財産管理権」の2種類のことをいいます。
民法第818条3項は、「親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。」と定めており、未成年の子がいる場合、親権者を決定しない限り、夫婦は離婚することができないことになります。
そのため、この親権者の決定は非常に重要な意味を有します。
親権者の決定方法としては、まず、両者による話合いが挙げられます。協議離婚の際に離婚届に親権者がいずれになるのかを記載し、役所に提出することで手続きができます。ただ、夫婦の間で離婚問題が生じている場面で、親権者をいずれかに話合いで決めるというのは現実問題として難しいことが多いです。
離婚すること自体は両者合意があっても、親権問題・財産分与問題・慰謝料問題、と多くの懸案事項が重なり、感情的な対立も激しい場面でありますから、残念ながらやむを得ないと言わざるを得ません。
そこで、夫婦の間で離婚することは決まっているのに、付随する様々な条件が決まらないために、家庭裁判所の手続きを利用するということは珍しいことではなく、むしろ離婚問題ではこうした事情で裁判所の手続きを利用することがとても多いです。離婚の場合には、必ず調停手続から始まります(いきなり離婚訴訟は原則できません)。調停手続きは話合いではあるのですが、男女2名の調停委員立会いのもと、夫婦両者が主張・反論を行い、どうにかこうにか解決策を模索していくという取組みが行われることになります。
上記調停手続によって親権者を決定することができない(離婚が成立しない)場合には、離婚訴訟で離婚するしないの判断をもとめていくことになり、その判断とともに未成年の子の新件をどちらにするべきかの判断が下されることになります。
この裁判所による決定が行われる際、親権争いが激しい場面では家庭裁判所調査官という専門調査官の調査が行われたりもします。
そうして夫婦関係の具体的内容に鑑みて、夫婦のどちらを親権者とするのが子の福祉の観点から妥当であるのかということで判断されます。
それでは、どのような事情が考慮され判断が下されるのでしょうか?俗に母親の方が親権者になりやすいという話もよく耳にするところですが、裁判所は決して母親だから深淵者に相応しいという判断基準を持っているわけではありません(子が生まれたばかりで未だ乳幼児の段階であるという場合は少し母親有利の結果になることはありますが、、)。あくまでも子どもの福祉の観点からいずれが適切か?を考えたときに、今現在、子どもがどのように生活しているかという現状把握がとても大切になります。離婚問題が夫婦の間で表面化してしまっている場合、既に別居をしているということも多くありえて、その場合、既に子どもらは父母のいずれかが引き取り養育している状態になっていることが多いです。
そうした場合、その既に形成された新しい環境が子どもにとって不都合はないか?その環境での支援体制はどうなっているか?総合的に子どもの養育環境として問題がないかという事情が非常に大きく半団を左右することになります。ですから、既に子どもを連れて自宅を出ていかれた。先方は実家などに戻って養育環境について万全な体制を整えているということになると、そこからの事態挽回は相当困難になります。単に子どもを連れて出て行けばいいというわけではありませんが、離婚の際、親権を確保したいという場合、どちらが先に子どもの新しい養育環境を十分に整備するかが勝敗の帰趨を決めるといっても過言ではないでしょう。
鹿児島県鹿屋市にある藤尾法律事務所は、鹿児島県大隅半島、都城市周辺を中心に、お客様の離婚に関する問題について法律相談を承っております。親権者決定についてのみならず、離婚についてお困りの際は、どんな些細な内容でも構いませんので、当事務所にお気軽にご相談ください。