過失割合は誰が決めるのか
「被害を受けた交通事故について、自分には全く非がないと思っていたが、8対2の過失割合だと言われ、納得できないでいる。」
「追突事故に遭い、首を痛めて通院を続けている。過失割合は10対0だと思うが、どうすれば確かめられるだろうか。」
交通事故に遭われた方のなかには、このように過失割合についてお悩みになる方が多くいらっしゃいます。
このページでは、交通事故にまつわるテーマのなかから、過失割合についてご説明してまいります。
■過失割合とは
交通事故における過失割合とは、当事者間の過失を割合として表したものです。
交通事故は、しばしば一方を加害者、もう一方を被害者として割り切れないような、双方に過失があったために発生することがあります。
このような場合に、損害賠償の算定と支払いを簡便に行うために、過失割合が用いられています。
■過失割合に応じた過失相殺
交通事故の損害賠償請求は、過失割合に応じて双方の請求額が相殺されます。これを過失相殺といいます。
過失相殺について、実際に例を挙げて考えてみましょう。
Aさんの車にBさんの車が衝突する交通事故が発生したと仮定します。それぞれの損害は、Aさんが300万円でBさんが100万円でした。
このとき、AさんとBさんの過失割合が10対0の場合には、BさんからAさんに対してAさんの損害全額である300万円が支払われます。
しかし、AさんとBさんの過失割合が9対1の場合には、Aさんの300万円の損害のうち30万円はAさんが負担するべきものであり、また、Bさんの100万円のうちの10万円もAさんが負担するべきものとして考えられます。したがって、BさんからAさんに対しては、Aさんの300万円の損害のうち260万円が支払われることになります。
このように、過失割合によって、損害賠償の金額は大きく変わってしまうのです。
■過失割合は誰が決めるのか
過失割合の決め方について、しばしば警察が決定していると考えていらっしゃる方がいます。
しかし、これは間違いです。
警察は、民事不介入の原則があり、民事上の問題については関与しないことになっています。こと過失割合については、損害賠償上の問題であるため、民事上の問題であり、警察が決定することはないのです。
ただし、警察が過失割合について何ら関係がないかというとそうではなく、交通事故が発生した状況を記した実況見分調書を作成し、これが過失割合の参考にされることは広く行われています。
では、一体誰が過失割合を決定しているかというと、一般的には保険会社が決定しています。
保険会社が、事故の状況について当事者から説明を受けるなどして過失割合の決定を行うということが、一般的となっています。
保険会社は、交通事故に対する多くのデータを保有しており、もめることはあっても、結果として少なくない方が保険会社が提示する過失割合を受け入れて示談を成立させています。
しかしながら、必ずしも保険会社の提示する過失割合が正しいとは限りません。
過失割合は、過去に発生した類似の交通事故の判例などを踏まえて判断するべきものであり、交通事故に対する知見と法令への理解が求められる領域です。
したがって、交通事故の過失割合に不満や疑問がある場合には、法律の専門家である弁護士へ相談することをおすすめします。
鹿児島県鹿屋市にある藤尾法律事務所は、鹿児島県鹿屋市を中心に、さまざまな法律問題に対応しております。
交通事故にまつわるお悩みなどでお困りの方は、まずは当事務所までお気軽にご相談ください。