遺産争いなどの相続トラブル回避のために事前にできることとは
■資産をリストアップする
相続が開始した時に、どのような相続財産があるかがわからないと、その後の手続きが滞る原因となってしまいます。
このような事態を防ぐ方法として、財産目録を作成して資産をリストアップしておくことが考えられます。財産目録には、所有している不動産や自動車、銀行口座、証券口座等を具体的に記載しましょう。また、相続では借金等のマイナスの財産も承継されることとなるため、住宅ローン等の未払いの債務がある場合には、これについても記載しておきましょう。
■遺言書を作成する
遺言書のない相続の場合には、相続財産は共同相続人全員による共有状態となります。そして、共同相続人は、どの不動産を誰が相続するかを話し合い、遺産の分配を行います。この遺産分割協議では、各自の利害が対立することが多く、相続トラブルにつながることも少なくありません。
遺産分割協議をめぐる紛争を防止する方法として最も有効なのは、遺言書を作成して遺産分割の方法を指定してしまうことです。誰に何を相続させるかを遺言書に記載しておけば、これにしたがって相続が行われることとなるため、遺産分割協議は不要となります。
ただし、相続人には遺留分と呼ばれる最低限の取り分があり、これを下回る相続人は、他の相続人に対して金銭賠償を請求できます(遺留分侵害額請求権)。そのため、遺言書を作成する際には、各相続人の遺留分を侵害しないよう注意する必要があります。
■可能な範囲で家族に意思を伝える
遺言書で遺産分割方法を指定するだけでは、なぜその財産をその人に相続させるのか、なぜその人の取り分が他の人より小さいのかといった意図が伝わらないことがあります。
これについての対策としては、生前から可能な範囲でご自身の意思を伝えておくことや、遺言書の中にその意図を記載しておくことが考えられます。