配偶者居住権とは
配偶者居住権とは、今回の相続法改正によって新たに設けられた権利・規定です。
詳述するに、その要件は、①被相続人の配偶者が、②被相続人の遺産たる建物に、③相続開始当時居住しており、④遺産分割or遺贈によって配偶者居住権を取得すること、の4つで、その効果は、配偶者は、自分が死ぬまで、無償で当該建物に居住することができる権利を取得することができます(民法1028条、1030条)。
このような改正がなされた背景としましては、例えば、被相続人の遺言によって配偶者が居住していた建物が第三者に相続されてしまったり、あるいは、遺産分割協議で、配偶者が建物の所有権を取得できなかったりした場合に、特に老年で、長年当該建物で居住してきた配偶者としては、その建物から退去することは、肉体的にも精神的にもきつく、かかる観点から、上記のような配偶者居住権が設けられました。
これによって、被相続人としても、また、遺産分割協議における他の相続人らからしても、配偶者に引き継がせる財産を、建物の所有権とせずとも、配偶者居住権とすることができ、その選択肢が増えたと評価することができます。特に、建物の所有権を配偶者が相続する、としてしまうと、当該配偶者の法定相続分を超えるような場合や、他の相続人の遺留分を侵害してしまうような場合に、それよりも価額の低い配偶者居住権を取得させることによって、配偶者の要望も満たしつつ、他の相続人にも不満が出ないカタチで相続を解決できるようになりました。
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