所在等不明共有者の不動産持分取得制度
不動産を複数人で相続したり、共同購入したりした場合、不動産は共有状態にあります。
このような場合において、不動産の管理行為(第三者への賃借など)を行うためには共有持分権者の過半数の同意が、不動産の処分を行うためには共有持分権者全員の同意が必要です。
しかし、登記簿や住民票、戸籍等を調査しても、他の共有持分権者の所在を知ることができないとき(以下、「所在不明」といいます。)には、不動産の管理、処分を行うことはできなくなってしまいます。
このような事態を解消するために、令和4年1月28日、「民法等の一部を改正する法律」が制定され、他の共有持分権者が所在不明の場合において、当該持分権者の持分の取得を裁判所に請求することができるようになりました。
以下、本制度を利用するための要件や効果について解説していきます。
要件について
①不動産が複数人の共有に属すること
ここにいう共有には、通常の共有および遺産共有が含まれます。
②他の共有者を知ることができないか、その所在を知ることができないこと
「所在を知ることができない」と言えるためには、単に音信普通であるというだけでは足りず、上述のように、登記簿や住民票、戸籍を参照しても他の共有持分権者の所在を知ることができないといえる必要があります。
手続きについて
裁判を開始するためには、共有者が裁判所に対して、所在等不明共有者の持分取得裁判を申し立てることが必要です。
なお、申立てにあたっては、所在等不明者の持分の時価相当額を、供託金として納付する必要があります。
そして、共有持分権者による申立てがあった場合、裁判所は、所在不明共有者に、反論の機会を与えるために、裁判の申立や、一定期間内に異議の申立を行うことができる旨を公告します。
効果について
上述した、異議申し立てのための期間が満了し、持分取得裁判の却下事由(供託金が納付されないなど)が存在しない場合、裁判所は、所在等不明共有者の持分取得の裁判をします。
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弁護士法人大隅ディフェンダー法律事務所では、不動産相続に関する問題も多数扱っております。
不動産処分を検討しているものの、共有者の所在が明らかでなくお困りの方、その他不動産の処分に関してお悩みの方は、お気軽に一度ご相談いただければと存じます。