相続法改正で変わった点やポイント
今回の相続法改正で変わったポイントは、大きく分けて4つです。以下、簡単にではありますが、概説していきます。
①配偶者居住権の創設
配偶者居住権とは、被相続人の配偶者が、被相続人の遺産たる建物に、相続開始当時居住しており、遺産分割or遺贈によって配偶者居住権を取得した場合に、配偶者は、自分が死ぬまで、無償で当該建物に居住することができる権利を取得することができる、というものです(民法1028条、1030条)。かかる権利創設によって、遺言や遺産分割時に、他の相続人らの相続分も考慮しつつ、配偶者が従前住んでいた建物に住み続けられるようになりました。
②遺産分割前の預貯金債権行使制度の創設
この制度は、被相続人の遺産に、預貯金があった場合に、かかる預貯金を、相続人の内の1人が、単独で、一定額については、これを払戻請求することができる、というものです。具体的には、預貯金債権総額の3分の1に、自己の法定相続分を乗じた金額(で、一定額の限定アリ)については、単独で引き出すことが可能になりました(909条の2)。これは、預貯金債権が遺産分割の対象になると判示した最大決平成28年12月19日民集70巻8号2121頁に合わせて、かかる判例理論の下でも、葬式代等、必要経費を被相続人の預貯金から賄えるようにしたものです。
③自筆証書遺言の方式緩和
今回の相続法改正で、自筆証書遺言における、財産目録については、自筆を要しない、とされました(968条2項)。これは、改正前だと、財産目録まで含めて全て自筆、すなわち手書きでなくてはなりませんでしたが、改正によって、財産目録については、パソコンでの作成や、あるいは通帳のコピーで足りるようになり、遺言者の負担が軽減されるようになりました。
④法務局における遺言書の保管制度の創設
これは、相続法改正に伴って、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」というものが制定され、自筆証書遺言を法務局で保管するように求めることができるようになりました。これによって、遺言者としては、自身が書いた遺言書が相続人らに発見されない、あるいは誰かに棄損をされるような事態を防げるようになりました。
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