離婚調停が不成立になったら|その後の流れや対処法を詳しく解説
離婚について、当事者間での離婚協議がまとまらない場合には、裁判所において離婚調停(夫婦関係調整調停申立て)を行い、離婚をするにあたっての当事者間の合意形成の可能性を探っていくことになります(※)。
しかし、離婚調停は必ずしも成立するとは限らず、不成立になってしまうケースもあります。
※ ご存じの方も多いかとは存じますが、離婚問題に関して、いきなり離婚訴訟は出来ないのが原則で先に離婚調停を行わなければならないルールになっています(調停前置主義)。
では、離婚調停が不成立になった場合、その後どのような流れになるのでしょうか。本記事では、離婚調停が不成立になった場合のその後の流れや対処法を詳しく解説します。
離婚調停が不成立になった場合の流れ
離婚調停が不成立になった場合には、何が原因で不成立になったかという事情を把握することが重要です。
離婚をする際に、決めなければいけない項目はいくつかあります。
そのどこの項目で不成立となったのかにより、次にとるべき対処方法は異なってきます。
因みに、離婚の際に決める項目として、①そもそも離婚に合意できるか、②子どもの親権者にいずれがなるか、③離婚後の養育費の支払をどうするのか、④財産分与はどうするか、⑤慰謝料請求はできる場面なのか、などが主な項目となってきます。
① 離婚自体に相手方が反対している場合
この場合には調停を繰り返しても、合意形成にたどり着く見込みは低いでしょうから、離婚訴訟に手続きを進めることができるかどうかを検討します。
しかし、調停があくまで当事者同士の話し合いであるのに対し、離婚訴訟は裁判官が判決をもって、離婚要件が揃っているから離婚せよ・要件が満たされないから離婚は不可との判断が示される手続きとなりますから、離婚訴訟を提起したからといって、必ず離婚という結論を手にできるとは限りません。
離婚要件を満たしていない場合には、離婚できないという結論を受け入れざるを得ませんし、さらに、離婚要件が揃っている場合であったとしても、その離婚要件を生じさせてしまった原因が当方であった場合、離婚請求をしてもその請求は拒まれてしまいます(有責配偶者からの離婚請求)。
それでも、どうしても離婚をしたいという場合、どうすればよいでしょうか?
こうした場合に作戦を依頼者とともに考えるというのが、我々弁護士の仕事ということになります。
100%イメージ通りの解決にならずとも、自分の人生を一歩前に進めるために、何をすべきかを検討することが重要となる場面になります。
② こちらが離婚に反対をしている場合
前項とは逆に、当方が離婚を拒んでいる場合、調停を不成立で終わらせるということは一つの作戦成功といえるでしょう。
しかし、あくまでも離婚を求めてくる相手方からは離婚訴訟が提起される可能性があります。
さらに、たとえ、その時点で離婚要件が揃っておらず離婚訴訟においても相手方の請求を排除できたとしても、将来的には離婚せざるをえない状況に立ち至る可能性は排除できません。
別居期間が長引けば、いずれは離婚訴訟で離婚すべきとの判断が下される可能性が高まってきます。
そこで、今後の夫婦間のあり方を再度検討しなおす必要があるでしょう。
子どものこと、今後の人生のこと、様々な課題と向き合う時間となることは避けられないでしょう。
③ 親権問題で離婚合意に辿り着けなかった場合
この場合、すなわち、双方当事者が我が子の親権を取りたいとして争いとなっている場合、おそらく別居が始まっている場合がほとんどだと思われますが、離婚紛争でもっとも激しく争われる類型の一つとなりますが、実際のところ、調停で決まらなかったからといって、訴訟に手続きを切り替えることで、何か状況が好転するかというと、それはなかなか難しいと言わざるを得ません。
親権者をいずれに定めるかについての紛争では、調停段階から裁判所は家裁調査官に調査を命じ、子らの生活状況や双方当事者の生活状況、養育に関しての監護支援者の状況など細かく生活実態の調査が行われ、その結果である家裁調査官が作成する調査報告書の内容が非常に重要なウェイトとなって、紛争の帰趨に影響をしてきます。
さらに、別居状態となっている場面では、子を引き取って現実に養育をしている側の当事者としては、現状維持を求めて、監護権者指定の申立てを行ってくることもありえます。
子と離れて暮らす親としては、子の引渡しを求める手続もありますが、その場合、子の養育環境について明確に看過できない不都合を立証できない限り、子の取り戻しは困難と考えなければなりません。
親権問題で調停が難航している場合、安易に調停を不成立にすることは得策とはいえず、調停期間を通じて面会交流を実現する等の手続きを通じて、離婚で途絶えてしまう夫婦関係と離婚しても継続される親子関係のあり方をどう調整していくかを検討することが重要です。
離婚に伴う親権者の決定については、共同親権が現在検討されていますが、紛争の本質が解消されるかは極めて不透明な状況と言わざるを得ません。
親権問題で離婚が難航している場合、専門家である弁護士のアドバイスは不可欠といえるでしょう。
④ 金銭問題(養育費、財産分与、慰謝料など)で合意に辿り着けなかった場合
金銭問題で、離婚調停が不成立となる場合というのは、オーソドックスな紛争場面として数多くあります。
しかし、金銭問題での揉め事ということになりますと、前項の親権争いの場合よりは、解決の見通しを立て易いといえます。
例えば、養育費(まだ離婚出来ていないので「婚姻費用」となりますが)に関しては、調停不成立の場合に審判移行を求めます。
そうなれば、双方当事者の収入内容、子らの人数・年齢等によって家庭裁判所が金額を決めてくれます。
その内容も審判書という債務名義で取得できますから、その後、例えば給与の差押えなどに速やかに利用することが出来るようになります。
双方当事者が離婚することには異存がないという場合で、折り合いの付かない課題が慰謝料問題のみといった場合には、離婚調停で離婚を成立させたうえで、別途慰謝料問題についてだけ訴訟提起を行うといった分離して対応していくことも検討します。
金銭問題での紛争においても、やはり弁護士のアドバイスは有効となってきます。
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