家族信託にはどんなメリット・デメリットがある?
家族信託とは、自身で財産を管理することが困難となった場合に備え、家族にその管理や処分を任せる制度を指します。
具体的には、財産を保有している委託者が、その管理を受託者に任せ、その際に発生した利益を受益者が得る、という仕組みになっています。
そのメリットには、以下の3点があります。
1点目は、本人の健康状態に関係なく財産の管理を行えることです。
体調の悪化や認知症などによって判断能力が低下し、本人の意思が不明瞭になった場合、本人名義の定期預金の解約や不動産の売却を行うことは非常に困難です。
しかし、この制度を利用すれば、受託者がその管理や処分を行うことができるのです。
2点目は、成年後見制度よりも柔軟な運用が可能となることです。
成年後見制度も判断能力が低下した際に財産の管理を任せる制度です。
ただ、この制度は本人の財産を守るということを主眼に置いているため、財産を減らす恐れのある投資などの行為は原則として行えません。
しかし、家族信託は本人の希望がある場合、受託者はその希望に沿った柔軟な運用が可能となります。
3点目は、遺言機能を備えていることです。
家族信託は、委託者と受託者が契約を結ぶことで行います。
そのため、本人が死亡した後に財産を引き継ぐ人の指定や、残された家族のために財産の管理を引き続き任せることも、契約書に記載することによって可能となるのです。
ただし、家族信託にも2点のデメリットがあります。
1点目は、受託者を決める際にトラブルが発生するリスクがあることです。
家族信託を行うことで、財産の名義が受託者に変更されることも多く、それに対して抵抗を感じる可能性があります。
また、他の相続人も受託者に指名されなかったことに対する不満を抱えたり、大きな権限を任される受託者に対して使い込みを疑うなど、トラブルの火種となることもあるのです。
2点目は、成年後見制度を用いなければ行えない行為があることです。
家族信託はその目的の主眼を財産の管理に置いており、受託者は委託者の病院への入院手続きや、施設への入居手続きを行う権限を有しておりません。
そのため、委託者の体調が悪化してこれらの手続きが必要になった場合にも、法定代理人としてこれらの契約を行えない場合があるのです。
家族信託は、健康な状態であるうちに自身の財産の管理を任せられる一方で、その内容がトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。
専門家への相談をあらかじめ行うことで、このようなトラブルのリスクを減らしつつ、目的に沿った最適なものにすることができるのです。
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