遺言書の内容が遺留分を侵害していた場合の対処法
相続において遺言は被相続人の最後の意思表示であるため最優先されます。
とはいえ、どのような遺言内容であっても優先されるわけではありません。
今回は、遺言書の内容が相続人の遺留分を侵害していた場合の対処法について考えていきたいと思います。
遺言書とは
遺言書とは、本人が亡くなった後の財産の分配や相続方法などについて意思を示す書面を指します。
遺言書に、誰にどのような財産を残すのかを記しておくことで、遺言者の方に相続人間の紛争を防ぐ効果も期待されます。
遺言書には、自筆証書遺言や公正証書遺言、秘密証書遺言など複数の種類があり、それぞれ作成方法や保管方法に違いがあります。
遺留分とは
遺留分とは兄弟姉妹を除く相続人に対して、法律で最低限保障されている遺産のことをいいます。
遺産全体に対する遺留分は、父母などの直系尊属とそれ以外で異なり、次のようになります。
・直系尊属のみ:遺産全体の3分の1
・直系尊属以外:遺産全体の2分の1
相続人が複数いる場合に、個別の相続人の遺留分を計算するには、上記を、法定相続分で分けることになります。
遺留分侵害されていた場合の対処法とは?
被相続人の遺言により、遺留分を侵害されていた場合の対処法として、侵害した者に対して遺留分侵害額請求を行うことです。
遺留分侵害請求権は、侵害した者に「遺留分を請求します」という意思表示することで発生します。
そのため、まずは書面などでご自身の意思を示すことが大切です。
なお、遺留分侵害請求には時効があり、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った日から1年以内に請求する必要があります。
時効を過ぎると、遺留分侵害した者に時効を援用された場合、請求ができなくなってしまうので注意が必要です。
また、遺留分侵害額請求には、除斥期間も設けられています。
相続開始から10年を経過すると、期間の経過とともに請求権が消滅しまうので、遺留分侵害額請求を検討した場合には、早期に請求することが大切です。
まとめ
今回は、遺言の内容が遺留分を侵害していたときの対処法について考えていきました。
遺留分侵害請求は相続人間で大きなトラブルに発展する可能性のある問題です。
自力で対応しようとすると、かえって火種が大きくなってしまうケースもありますので、早期に弁護士への相談を検討してみてください。